11月11日(土)神奈川県逗子市の市民交流センター横フェスティバルパークにて「10代の自分へ。」と題されたブックイベントが開催されます。このイベントは、美容文藝誌『髪とアタシ』を発行するアタシ社が主催するもの。アタシ社が選ぶ15人が、10代のころの自分自身に向けた本を10冊選び、当日本人たちが販売をするという企画で、今回がその第1回目となります。(WEBmagazine温度発行人の碇も出店します)イベント開催にあたって、アタシ社のミネシンゴさんにお話を伺いました。
―― 今回ミネさんはなぜブックイベントを主催しようと思ったのでしょう。きっかけについて教えてください。
ミネ アタシ社は、ブックイベントに積極的に出店しています。つくった本への思いを直接語る機会はなかなかないので、そこに大きな意味を感じているからなのですが、その一方、「本屋さんでも売ってるものをわざわざブックイベントで買ってもらう意味ってなんだろう」ということを考えるようになりました。
たとえば、京都にあるホホホ座の山下さんや誠光社の堀部さんのように、店主の個性が際立っている本屋さんがブックイベントに出店するのと、出版社の社員の方がブックイベントに出店するのは、やはり意味合いが違いますよね。
あと、本屋さんがブックイベントに出店する場合、客層がわからないのに本を選んで持っていくことってむずかしいんじゃないかって思ったんです。ターゲットが明確でないブックイベントって結局本好きしか来てないのでは、という気持ちもありました。なので、いわゆる「本好き」以外を対象としたものもあっていいって思いがどこかにあったんです。
そんなちょっとしたモヤモヤを解消したいって思いがあったことが、このイベントを立ち上げた理由のひとつです。なので、「その人自身が何かをしている人」に出店してもらうことと、来てもらいたいターゲットを明確にする、というのが自分のなかで軸になりました。
もうひとつの理由は、逗子で本のカルチャーが消えつつあることへの危機感が芽生えたことです。
―― 逗子でどんなことがあったんですか?
ミネ 逗子駅の目の前にあった大きめの本屋さんが去年のおおみそかに閉店したんです。もう、本当にショックで…。その上、鎌倉には2つブックイベントがあって、葉山も一箱古本市をやっているのに、その狭間にある逗子にはなにもない。そんな状況の中、逗子唯一の出版社であるアタシ社がなにかアクションを起こさないと、と思うようになりました。
―― ミネさんの抱いた実感や危機感が今回の企画につながったんですね。企画の具体的な内容はどのように立てましたか?
ミネ ぼくは今でこそ出版社をやってるけれど、実は読書経験があまり多くないんです。10代のときなんてずっとサッカーばっかりやってて、ほとんど本を読んでなかったんですよね。
今回出ていただく15人のなかのひとりでもある、元an・anの編集長(現colocal編集長)の及川(卓也)さんと話しているとき、「10代の多感な時期にいい本に出会えていたら、人生変わるよね」ってことを言われたけど、全然共感できなくて。読んでないから(笑)。
でも、だからこそ、10代に向けた本を選ぶのは面白いかも、って思えたんです。本が売れなくなっていて、かつ子どもの数も減っているんだから、10代の人たちをめがけたブックイベントって意味があるんじゃないか、と。
とは言え、選書してもらうときに「10代の人に読んでほしい本」ってだけだとかなり漠然としてしまうので、現在の自分が「これ読んどけよ!」って10代のころの自分に渡せるような、そういう切り口で10冊選んでもらうといいなっていうことで、今回の形になりました。
あと、逗子の図書館がこの企画を面白がってくれて、今回15人に選んでもらった本のリストをもらえないか、っていう話が来ましたね。イベント後は、今回本の仕入れをしてくれている湘南蔦屋書店さんと、逗子の図書館でフェア展開がされる予定です。
―― 元10代の方にも来てほしいし、今回のターゲットである10代の方にもたくさん来てほしいですね。
ミネ そうなんです!今回教育委員会に後援になってもらっているので、広報活動も頑張っています。
でも、みなさんの選んだ選書リストをみると、みなさん本気モードで選書いただいているので、大人向けの本も多く入っている気がします。
あと、新刊が毎日200点出ているにもかかわらず、15人からあがってきた本のタイトルに被りがけっこうあってビックリしましたね。
―― ミネさんが選んだ人が選んだ本なので、やはりちょっと指向が似ているのでしょうか。ブックセレクターの15人はどのように選出されましたか?
ミネ 本に詳しい編集者を中心に、写真家、書店員など、本にまつわるおもしろい人たちを、アタシ社目線で選ばせていただきました。 男女比も意識したのと、年代もばらつくようにしています。
―― 告知物をみると、これは「第1回」と銘打ってあります。今後はどのくらいの頻度で開催予定ですか?
ミネ 毎年秋に開催したいです! ただ、今回雨が降ったら中止になってしまうので、まずは晴れることを願っています!
【イベント概要】
開催日 2017年11月11日(土)10:00~17:00
場所 逗子市逗子4-2-11市民交流センター横フェスティバルパーク
(京浜急行「新逗子」駅より徒歩2分/ JR 「逗子」駅より徒歩5分)
料金 大人500円、19歳以下は無料
※ 雨天中止
【出店者】※順不同
仲俣 暁生(編集者/「マガジン航」編集発行人)
灯台もと暮らし編集部(ウェブメディア)
元田 敬三(写真家)
古川 誠(文筆家/OZ magazine編集長)
宮川 真紀(タバブックス代表)
及川 卓也(編集者/colocal編集長)
旅音(旅行作家/ライター/カメラマン)
真鶴出版(編集者/宿運営)
柴田 隆寛(編集者/編集事務所Kichi主宰)
矢野 太章(編集者/暮しの手帖編集部)
西山 雅子(フリー編集者)
鈴木 美波(SHIBUYA PUBLISHING & BOOKSELLERS)
小原 信治(放送作家)
全田 和也(NPO法人ごかんたいそう代表理事)
碇 雪恵(WEBmagazine温度発行人)